肩甲骨


「あ、アルバさん背骨折らせてください!」
「なんでよやだよ!!」
 お伺いを立てれば良いってもんじゃない。そんなシャンプー切れたから買ってきて!みたいに言わないで欲しい。
 いい笑顔で近付いてくるロスにふと思いついて言葉を出す。
「今日はアバラじゃないんだな。いいいいだっ!いたい!いたいいたいいたい!!」
 きょとんとしたロスはすぐに凶悪な顔つきになって指先で圧を加えてくる。骨を砕く勢いで押し込んでくるものだから痛い痛いと悲鳴を上げるより仕方がない。
 思わず手に力が入ってロスの背中を掴むと、肩口で小さく息をのむ音がしたような気がした。
 憮然とした表情で人の骨と仲良く戯れたロスは、同じように憮然とした表情をして手を離し、そのまま何も言わずにくるりと背を向けて歩いていく。
 アルバさん大丈夫?と、苦笑いで聞いてくる幼い子供に笑いかけてその背を押す。たまには最後尾から見る景色も良いかもしれない。
「早くしないとアバラ折りますよー。」
「ふーん。もう背骨は折らなくて良いんだー?」
「チッ!」
 本当ね、そんな、寂しいから抱きしめてくださいなんて、言えるわけないか。


 どこかに飛んでいってしまうんじゃないかと
 思って