「…おはようございます。」
 嘘ですあと5日。
 このようにしてトイフェル・ディアボロス、あくまで執事長の一日は、終わるのです。



Tea
English Breakfast


「いーやーでーすー。無理。やーだー起きたく、ない!」
 上半身だけ起き上がって、誰に言うでもなく文句を連ねる。朝なんて来なくていい。もう夕方だけど。うわー寝すぎて疲れた。寝すぎて疲れたからもう寝ようそうしよう。間延びした声で駄々をこね、気付くと一瞬意識が飛んでいる。
 パジャマを通して寒さが伝わり、もう一度ベッドに倒れ込もうとすると、室内に無理やり設置されたスピーカーから大臣の呼び出しが聞こえ、頭をわしわしとかきまぜながら床に足をつける。

 冷たい。

 無理無理無理無理超冷たい。指先死んだ絶対死んだ。
 普段からは到底考えられないほどの素早さでベッドに足をつっこむ。あ、あったかい。
 今日は起きなかった。そういうことにしよう。もそもそと足をすり合わせ、枕に頭をうずめる。
 うとうとと幸せな睡魔に身を任せようとしたところに、再度スピーカーががなりたてた。
「執事長ー!」
「…………。」
「しーつじちょーう!」
「…無理れす……。」
「起きなさい仕事しなさい。」
「床暖……床暖いーなー…床暖あったらはかどっちゃうなー。」
「減給するよ。」
「チィッ!」
 床暖あったらもう俺この部屋から一歩も外でないのに。わざわざベッドに入らなくても床に布団を落とせば快適自堕落空間だ。最高ー。
 今日50文字も喋った。あぁうんううーんもう駄目すごい。俺頑張った。超エラーイ。じゃ、


 おやすみなさい。